狂った隣人たち
そう返事をすると家族全員がホッとしたように息を吐き出す。


そう、今日は大丈夫だった。


それは確かなことだけれど明日になるとわからない。


いつ、どう変化していくのか隣の家に暮らすくるみたちは見たことがないからだ。


ただきっとそう遠くない未来。


ほんの数日か、数週間のうちに変わるかもしれない。


今まで引っ越してきた家族たちと例外なく……。


それから毎日祐次と一緒に学校へ行くことになった。


祐次が学校に慣れるまでの日課だと考えていたくるみだけれど、どうやら祐次は違ったみたいだ。


一緒に校門をくぐると生徒たちに視線が2人にさらされる。


くるみはそれを気にして歩調が遅くなってしまったり、影にかくれたりしたくなるのだけれど、祐次はおかまいなしにくるみの手を握り締めてきた。


「ちょっと、なにするの?」


これにはくるみもビックリして抗議の声をあげる。


こんなことをしていたら、余計に女子の敵を作ってしまう。


それどころか変な勘違いをされてしまうだろう。
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