狂った隣人たち
「どうして? ダメ?」


まるで子犬のような目でそう言われると、くるみは反論できなくなってしまう。


祐次がくるみのことをどう思っているかわからないまま、転入初日から振り回されっぱなしだ。


「大神くん! 明日大神くんの転入歓迎会しようって話をしてるんだけど、どうかな?」


翌日が休みの金曜日。


普段よりも浮き足立つ空気が漂う教室内で、女子生徒が祐次にそう声をかけてきた。


「明日?」


「うん。クラスの半分くらいが参加するよ」


そんな話を横目に聞きながらくるみはそ知らぬ顔を続けていた。


しかし、くるみはその会に誘われていない。


女子たちがわざと誘ってこなかったことは明白だ。


嫌な汗が背中を流れていくのを感じながら祐次の反応を待つ。


「歓迎会か、どうしようかなぁ」


「大神くんが主役なんだから来てもらわないと困るよ?」


女子生徒の口調が少し険しくなる。


祐次に相談なく決めた会なのに、強制的な言い方だ。
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