狂った隣人たち
☆☆☆

放課後、帰る支度をしているとリオが近づいてきた。


「2人ともなぁんかいい感じだよねぇ?」


くるみへ向けてそう言いながら視線は廊下でくるみのことを待っている祐次へ向けられている。


リオにつれられて視線を向けると、祐次は数人の女子生徒に囲まれている最中だった。


困ったように眉を下げているから早く行ってあげないといけない。


くるみは手早く教科書をカバンにつめていく。


「今日も一緒に帰るんでしょう?」


「家が隣だからだよ」


「ああして待ってるし」


「まだこの町に慣れていないからだって」


「本当にそれだけ? 大神くん、学校にだってすぐなれたじゃん」


そう言われたらそうだけれど、実際に祐次がまだ町になれていないと言うのだ。


くるみはそれを信じて一緒に通学しているだけだ。


と、自分に言い聞かせていた。


本当はそれ以上のことがあればいいと、密かに考えている。


「変なこと言わないでよ。じゃあねリオ」


くるみはリオに手を振り、足早に教室を出たのだった。
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