狂った隣人たち
音は外から聞こえてきたのかもしれない。


小さな通路を隔てて2メートル先には隣の家がある。


大きな物音ならこちらまで聞こえてくることも多々あった。


くるみは気にしないことにしてまた漫画に視線を向ける。


戦隊ヒロインたちが一同に集まり、今回の大ボスに立ち向かうところだ。


このボスを倒せば更なる扉が開かれて、悪の手に落ちてしまった魔法の水晶を取り戻すことができる。


ヒロインたちの役目は終わり、物語が終わってしまうのか続いていくのかが次号で
わかるはずだった。


子供たちに大人気のこの漫画を読んでいないと、明日学校で会話についていくこともできなくなってしまう。


そしてまた夢中になって読み始めたとき、さっきよりも大きな音が聞こえてきた。


ついで窓ガラスが割れる音と、悲鳴。


くるみはガバッと状態を起こして部屋から飛び出していた。


「お母さんどうしたの? お母さん!?」


転びそうになりながら階段を駆け下りていくと、リビングの窓を開けた母親が硬直していた。

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