ママの手料理 Ⅱ
買われたご主人様に末永く飼われるかもしれないし、すぐに返品されたり殺されるかもしれない。
それでも、叶わなくても希望に縋り付きたくて。
「オークションが始まる!此処からは1列に並べ!合図があったら1人ずつ前へ進むんだ、良いな!」
オークション会場に辿り着いた私たちは、係の人に深く礼をした。
そして、オークションが始まる直前。
「ねえ、ご主人様の名前って何て言うの?」
これが最後のチャンスだと感じた私は、隣に立つ“歩く怪盗パピヨン専用辞書”に尋ねた。
けれど周りがうるさすぎたせいか、彼女は私に目をくれる事はなくて。
その代わり、数秒後に彼女はじっと前を見据えたまま口を開いた。
(……え、)
口パクだけで伝えてきたその衝撃的な台詞に、私は息を飲んだ。
━━━━━━━━━━━━━━━…………………
「なるほど、お前の同期がチビの近くに居るかもしれない、という事か。…それで、染井 佳乃(そめい よしの)?そいつは本当にそう言ったのか?」
笑美の話を聞き終えた琥珀が、怪盗パピヨンのリーダーの名前を聞いて目を見開いた。
「嘘、染井佳乃ってまんま桜じゃんっ…えっ、本名…?銀河と大也よりやばい名前の人初めて聞いたんだけどっ…」
それでも、叶わなくても希望に縋り付きたくて。
「オークションが始まる!此処からは1列に並べ!合図があったら1人ずつ前へ進むんだ、良いな!」
オークション会場に辿り着いた私たちは、係の人に深く礼をした。
そして、オークションが始まる直前。
「ねえ、ご主人様の名前って何て言うの?」
これが最後のチャンスだと感じた私は、隣に立つ“歩く怪盗パピヨン専用辞書”に尋ねた。
けれど周りがうるさすぎたせいか、彼女は私に目をくれる事はなくて。
その代わり、数秒後に彼女はじっと前を見据えたまま口を開いた。
(……え、)
口パクだけで伝えてきたその衝撃的な台詞に、私は息を飲んだ。
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「なるほど、お前の同期がチビの近くに居るかもしれない、という事か。…それで、染井 佳乃(そめい よしの)?そいつは本当にそう言ったのか?」
笑美の話を聞き終えた琥珀が、怪盗パピヨンのリーダーの名前を聞いて目を見開いた。
「嘘、染井佳乃ってまんま桜じゃんっ…えっ、本名…?銀河と大也よりやばい名前の人初めて聞いたんだけどっ…」