ママの手料理 Ⅱ
数日前に外の世界の人と電話した事を、彼女に伝えた方がいいのだろうか。
しばらくして、髪飾りをつけたままサラダを食べ始めた私は、同じくサラダを口に入れている下僕を見つめながらそんな事を考えていた。
大叔母さんに伝えたら大問題になってしまうかもしれないけれど、スマホを持ってきてくれて、尚且つ電話のかけ方まで教えてくれた0823番には伝えても支障がないだろう。
そう思った私は、
「……あ、そういえば」
と、至って普段通りを装いつつ声を上げた。
「…?」
ちょうど咀嚼していた彼女は、目線だけで“どうしましたか?”と聞いてきて。
「あのさ、私…この間、外に電話かけたんだよね」
下僕のフォークが、ぽとりと地面に落ちた。
「いや、何も記憶が蘇ったとかそういう訳じゃなくて!…なんか、頭に電話番号みたいなのが浮かんできたからそれで、掛けちゃっ…!?」
(え?)
こちらを凝視する彼女の、最大限に見開かれた丸くて大きな目から大粒の涙が零れ落ちているのを見た私は、驚いて声を失った。
「ご、ごめん!私、まずいことしたかな…?」
慌てて両手を振り回して謝ると、
「…違います、電話、出来たんですね…!」
鼻をすすって涙を拭いた彼女は、心から安心した様な表情を浮かべた。
しばらくして、髪飾りをつけたままサラダを食べ始めた私は、同じくサラダを口に入れている下僕を見つめながらそんな事を考えていた。
大叔母さんに伝えたら大問題になってしまうかもしれないけれど、スマホを持ってきてくれて、尚且つ電話のかけ方まで教えてくれた0823番には伝えても支障がないだろう。
そう思った私は、
「……あ、そういえば」
と、至って普段通りを装いつつ声を上げた。
「…?」
ちょうど咀嚼していた彼女は、目線だけで“どうしましたか?”と聞いてきて。
「あのさ、私…この間、外に電話かけたんだよね」
下僕のフォークが、ぽとりと地面に落ちた。
「いや、何も記憶が蘇ったとかそういう訳じゃなくて!…なんか、頭に電話番号みたいなのが浮かんできたからそれで、掛けちゃっ…!?」
(え?)
こちらを凝視する彼女の、最大限に見開かれた丸くて大きな目から大粒の涙が零れ落ちているのを見た私は、驚いて声を失った。
「ご、ごめん!私、まずいことしたかな…?」
慌てて両手を振り回して謝ると、
「…違います、電話、出来たんですね…!」
鼻をすすって涙を拭いた彼女は、心から安心した様な表情を浮かべた。