ママの手料理 Ⅱ
「…それでは、飴も舐められたようですので、私は退出致します」
昼食を取った後、彼女は素早くお皿とフォークをお盆の上に置きながらそう言ってきた。
「それと0114番様、電話とスマホの件はくれぐれも内密にお願い致しますね」
彼女の透明な声はどことなく震えていて、うん、と頷いた私の声も何故か震えていた。
それでは、と、小さく会釈をしてこちらに背を向ける彼女に、
「待って!」
と、私は呼びかけた。
何故か、伝えるなら今しかないと思ったから。
「髪飾り、お揃いで嬉しい!覚えてないけど…覚えてないけど、0823番と沢山思い出作れたの、嬉しいから!私が下僕になったら、もっともっと楽しい思い出作ろうね!」
言いながら、理由もないのに涙が零れてきた。
もしも大也と呼ばれた人が此処に来るのなら、その後私はどうなってしまうのだろう。
3つ目の飴玉を舐めていない事が大叔母さんに知られたら、私はどうなるのだろう。
記憶もなくて疑問と謎しかないこの空間で、頼りになるのは0823番しか居なくて。
私の世界はこの小さな部屋で、その中では彼女が私の全てだった。
「だから、…命にかえてなんちゃらなんて、言わないで、」
私の掠れた声を聞いた彼女が、ゆっくりと振り返る。
昼食を取った後、彼女は素早くお皿とフォークをお盆の上に置きながらそう言ってきた。
「それと0114番様、電話とスマホの件はくれぐれも内密にお願い致しますね」
彼女の透明な声はどことなく震えていて、うん、と頷いた私の声も何故か震えていた。
それでは、と、小さく会釈をしてこちらに背を向ける彼女に、
「待って!」
と、私は呼びかけた。
何故か、伝えるなら今しかないと思ったから。
「髪飾り、お揃いで嬉しい!覚えてないけど…覚えてないけど、0823番と沢山思い出作れたの、嬉しいから!私が下僕になったら、もっともっと楽しい思い出作ろうね!」
言いながら、理由もないのに涙が零れてきた。
もしも大也と呼ばれた人が此処に来るのなら、その後私はどうなってしまうのだろう。
3つ目の飴玉を舐めていない事が大叔母さんに知られたら、私はどうなるのだろう。
記憶もなくて疑問と謎しかないこの空間で、頼りになるのは0823番しか居なくて。
私の世界はこの小さな部屋で、その中では彼女が私の全てだった。
「だから、…命にかえてなんちゃらなんて、言わないで、」
私の掠れた声を聞いた彼女が、ゆっくりと振り返る。