ママの手料理 Ⅱ
それもそうだ、今まで怪盗パピヨンは名だけ独り歩きしていてその実態なんて知る由も無かった。
今回、偶然紫苑ちゃんが誘拐されて、偶然下僕の笑美が家に居たからこの事を知れたけれど、こんな行いは非人道的過ぎる。
「……たすけ、…」
その時、その少女がまた口を開いた。
老婆の様にしわがれたその声は、明らかに助けを求めていて。
「…ちょっと待っててね」
けれど、本来紫苑ちゃんを盗み出すのが目的な俺達は今彼女にしてあげる事が何も無い。
仁は、ただ彼女を無駄に期待させてしまう言葉を呟いてくるりと後ろを振り返った。
「そこ突っ立ってないで。行くよ、大也」
瞬間。
彼は、俺が蹴破ろうと思っていたドアを一瞬にして蹴り飛ばし、そろりそろりと廊下に出て行ってしまった。
慌てて、俺もドローンも彼を追い掛ける。
「さっきの音絶対大き過ぎたって!あんなのじゃあ怪盗パピヨンに気付かれちゃう」
「いやいや、僕達が侵入してる時点で気付かれてたに決まってるでしょう。しかも今、電気も消えてるしね」
何処かでバタバタと誰かが走り回ったり大声が聞こえてくる中、俺達は暗闇でも目が見えるようになる特殊な目薬ー銀子ちゃんが作ったーをさして廊下を進んでいた。
「…てか紫苑ちゃんって何処にいるの?」
今回、偶然紫苑ちゃんが誘拐されて、偶然下僕の笑美が家に居たからこの事を知れたけれど、こんな行いは非人道的過ぎる。
「……たすけ、…」
その時、その少女がまた口を開いた。
老婆の様にしわがれたその声は、明らかに助けを求めていて。
「…ちょっと待っててね」
けれど、本来紫苑ちゃんを盗み出すのが目的な俺達は今彼女にしてあげる事が何も無い。
仁は、ただ彼女を無駄に期待させてしまう言葉を呟いてくるりと後ろを振り返った。
「そこ突っ立ってないで。行くよ、大也」
瞬間。
彼は、俺が蹴破ろうと思っていたドアを一瞬にして蹴り飛ばし、そろりそろりと廊下に出て行ってしまった。
慌てて、俺もドローンも彼を追い掛ける。
「さっきの音絶対大き過ぎたって!あんなのじゃあ怪盗パピヨンに気付かれちゃう」
「いやいや、僕達が侵入してる時点で気付かれてたに決まってるでしょう。しかも今、電気も消えてるしね」
何処かでバタバタと誰かが走り回ったり大声が聞こえてくる中、俺達は暗闇でも目が見えるようになる特殊な目薬ー銀子ちゃんが作ったーをさして廊下を進んでいた。
「…てか紫苑ちゃんって何処にいるの?」