ママの手料理 Ⅱ
廊下の両隣にある無数のドアからは、銀子ちゃんがブレーカーを落としたせいで少女と思われる人々の叫び声や泣き声が漏れてきていて。


『それがよ、紫苑の場所を特定出来なかったんだよなあ。申し訳ねぇが、お前らで何とか探してくれ』


直後聞こえた能天気過ぎる銀子ちゃんの声に、一瞬無線機を叩き壊してやろうかと思ってしまった。


「ちょ、嘘でしょ俺ら2人でこれから探せと!?」


『ドローンも居るから安心しろ』


いや、そんな簡単な話じゃない。


もし怪盗パピヨンが現れたら闘わないといけないし、1つ1つドアを開けて確認していたら日が昇る。



「あ、この部屋には番号がついてるみたいだね。これはNo.42だ」


今までの俺達の話を聞いていたのかいないのか、仁が口を挟んできた。


『なら、それで分かんじゃねーの?おいホスト、紫苑は自分の事を何て名乗った』


(え?)


急に話を振られて口ごもった俺の耳に、


『0114番だと思われます、銀河様。私達は誕生日で呼び合うんです。右手の手の甲にその数字が書かれていますので、それを確認して頂ければ確実かと』


と、笑美の緊張気味の声が聞こえて。


『おお、なら番号はNo.13か14か15だ』


瞬時に答えを導いた銀子ちゃんに俺は思わず拍手をしかけて。
< 133 / 273 >

この作品をシェア

pagetop