ママの手料理 Ⅱ
(…?何言ってるのこの人、)


確かに仁は俺より歳上だけれど、それが何だと言うのだ。


歳下が歳上を守って、何が悪い。


中途半端に口を開けて黙り込んだ俺にお構い無しに、彼女はベラベラと話し続ける。


「嫌ねぇ仁君、あなたそんなに弱いの?そんなんじゃあ歳上失格じゃないの」


『仁さん!その人の言ってる事は全部無視して下さい!きついなら壱さんになって下さい!お願いします!』


『今すぐ壱になれ!早く!大也、お前はさっさとそのババア殺せ!』


目の前では染井佳乃が話し、イヤホンからは航海と琥珀の切羽詰まった声が聞こえてきていて、俺の脳内はもはやカオス状態だった。


「殺せって言っても、紫苑ちゃんが何処にいるか聞いてないんだから殺せないじゃん!」


思わずそう叫ぶと、案の定怪盗パピヨンのリーダーがにんまりと笑って。


「殺す?…仁君は、この子に殺人をさせちゃうのね。そんなんじゃあ、紫苑っていう子を連れ戻しに来た意味すらないわね」



フーッ、フーッ…、と、仁が辛そうに深呼吸を繰り返しているのが聞こえる。


「壱、今すぐ出てきて!」


俺がそう叫んで染井佳乃の左胸に狙いを定めたのと、


「それともこう言った方が良いかしら?…仁君は、あなたの実の……」


彼女が銃を持ったまま何かを言いかけたのと、
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