ママの手料理 Ⅱ
「嘘でしょ、仁……?」
じたばた暴れる怪盗パピヨンのリーダーと、額から脂汗を浮かべる怪盗mirage最年長の男を交互に見た俺は、ぽつりと呟いた。
「何、僕じゃ文句あるの?僕が力不足みたいな言い方止めてよ、死ぬ程むかつくから」
先程からずっと、
『おい、お前闘えたのか!?』
『仁さん、今からでも壱さんになっても良いんですよ!』
等と喚く声が聞こえるイヤホンを邪魔そうに耳から外した仁は、息を切らしながらも口元に笑みを浮かべた。
「仁、もう大丈夫だから手離して。…離して、ってば」
(紫苑ちゃんの居場所聞かないと、)
酸素が回らず段々青ざめていく染井佳乃を見て焦った俺は、無理矢理仁を彼女から引き離した。
瞬間、彼はよろめきながら壁にもたれ掛かって。
仁の両手は痙攣と言っていいレベルで震えていて、そんな彼は苦しそうに目を瞑っている。
先程の変わりようには驚いたけれど、やはり相当無理をしていたようだ。
本当は意地でも壱になってもらいたいところだけれど、主人格が拒否している以上今は何も言えない。
染井佳乃もバランスを崩して反対側の壁に手をつきながら息を整えているから、彼女の体力も相当消耗されたはず。
じたばた暴れる怪盗パピヨンのリーダーと、額から脂汗を浮かべる怪盗mirage最年長の男を交互に見た俺は、ぽつりと呟いた。
「何、僕じゃ文句あるの?僕が力不足みたいな言い方止めてよ、死ぬ程むかつくから」
先程からずっと、
『おい、お前闘えたのか!?』
『仁さん、今からでも壱さんになっても良いんですよ!』
等と喚く声が聞こえるイヤホンを邪魔そうに耳から外した仁は、息を切らしながらも口元に笑みを浮かべた。
「仁、もう大丈夫だから手離して。…離して、ってば」
(紫苑ちゃんの居場所聞かないと、)
酸素が回らず段々青ざめていく染井佳乃を見て焦った俺は、無理矢理仁を彼女から引き離した。
瞬間、彼はよろめきながら壁にもたれ掛かって。
仁の両手は痙攣と言っていいレベルで震えていて、そんな彼は苦しそうに目を瞑っている。
先程の変わりようには驚いたけれど、やはり相当無理をしていたようだ。
本当は意地でも壱になってもらいたいところだけれど、主人格が拒否している以上今は何も言えない。
染井佳乃もバランスを崩して反対側の壁に手をつきながら息を整えているから、彼女の体力も相当消耗されたはず。