ママの手料理 Ⅱ
俺が一気にまくし立てると、いつの間にかすぐ近くに立っていた彼は、


「…は?」


と呆れたように呟きながらも微かに口角を上げた。


「…やっぱり、琥珀の事諦めるの止める!琥珀の事1番分かるのは俺だし、琥珀が何にも言わなくても言いたいこと分かるもん」



彼の事を思い続ける限り、俺はいつか言われたように“怪物”で居続けることになる。


紫苑ちゃんに引かれて嫌われるかもしれないけれど、自分の気持ちに正直になる方が大切だと分かったからきっと大丈夫、何とかなる。


部屋に入ってきた時とは打って変わって明るい笑顔を浮かべた俺に、


「……そうか。なら今俺が考えてる事も分かるのか」


彼は薄ら笑いを浮かべて尋ねてくる。


「うん!俺と一緒に寝」


「今すぐ俺の枕よこせ、汚ぇからその面見せんなゴミ、泣き止んだら早く出てけクソ野郎、以上」


「くっ…クソ野郎!?根っからのクソ野郎はお前だ!」


俺の言葉を遮り、いつも通りボロクソに言われるけれどこれもこれでいい。


「どの口が言ってんだよカス、ほらさっさと出てけ邪魔邪魔」


しっしっ、と出て行けというジェスチャーをされるけれど、此処は俺の部屋だ。


「ちょい待ち、出てくのはそっちでしょ?ここ俺の部屋だよ」


「お前とうとう頭狂ったか?ここは俺の部屋だろうが」
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