ママの手料理 Ⅱ
『私達下僕が命を懸けて紫苑様をお守り致します。その時が来れば、染井佳乃様と命を絶つ覚悟も出来ております。
紫苑様は、下僕になる為に生まれてきたわけではありません。ご家族と幸せな思い出を作り、大人になったら素敵な方と結婚して家庭を作り、子供や孫に囲まれて笑顔で天寿を全うする、そういう人生を送って頂きたいのです。
私には出来ない沢山の経験をしてください』
カメラを真っ直ぐに見つめる彼女の瞳は、潤んでいた。
「何で、……」
どうして、見ず知らずの私の為にそこまでしてくれたの。
他に囚われていた人達だってハナ達だって、下僕になる為に生まれてきたわけではないのに。
『…あの日、紫苑様がお店から出てこられた際の幸せそうな笑顔が忘れられません。そのような美しい心の持ち主を洗脳するのは、本当に心が痛くなる思いでした』
一瞬で視界がぼやけ、温かいものがいく筋にもなって頬を撫で落ちる。
大也達が助けに来てくれたあの夜、階下でずっと聞こえていた物音の主導権を握っていたのはハナ。
花の様に美しい笑顔を持つ彼女は私の為に先頭に立ち、可憐に咲いて散っていった。
『短い間でしたが、私は貴方様と出会えてとても光栄でした。3つ目の飴が渡らないよう、大叔母様を死ぬ気で阻止します。……それでは紫苑様、お元気で』
紫苑様は、下僕になる為に生まれてきたわけではありません。ご家族と幸せな思い出を作り、大人になったら素敵な方と結婚して家庭を作り、子供や孫に囲まれて笑顔で天寿を全うする、そういう人生を送って頂きたいのです。
私には出来ない沢山の経験をしてください』
カメラを真っ直ぐに見つめる彼女の瞳は、潤んでいた。
「何で、……」
どうして、見ず知らずの私の為にそこまでしてくれたの。
他に囚われていた人達だってハナ達だって、下僕になる為に生まれてきたわけではないのに。
『…あの日、紫苑様がお店から出てこられた際の幸せそうな笑顔が忘れられません。そのような美しい心の持ち主を洗脳するのは、本当に心が痛くなる思いでした』
一瞬で視界がぼやけ、温かいものがいく筋にもなって頬を撫で落ちる。
大也達が助けに来てくれたあの夜、階下でずっと聞こえていた物音の主導権を握っていたのはハナ。
花の様に美しい笑顔を持つ彼女は私の為に先頭に立ち、可憐に咲いて散っていった。
『短い間でしたが、私は貴方様と出会えてとても光栄でした。3つ目の飴が渡らないよう、大叔母様を死ぬ気で阻止します。……それでは紫苑様、お元気で』