ママの手料理 Ⅱ
｢けど、このケーキ本当に美味しいよ。チーズタルト作っちゃうなんて女子力の塊じゃん｣


続いてヒョウ柄のリストバンドをつけた仁が珍しく褒め言葉を口に出し、


｢ああいや、そんな…照れますね、ありがとうございます｣


｢君に言ってないから｣


次の瞬間、完全にウケを狙いに行った航海を睨みつけていた。



チーズタルトの隣にはチキンとサラダ、果物の盛り合わせ、スパゲッティ、そして2つのお店の売れ残った商品が所狭しと並んでいる。


｢まじ天国！チートデイ最高！明日は筋トレしなきゃだけど！｣


バイキングのように自分のお皿に食べたいものを乗せながら、俺は至福の表情を浮かべた。



｢あ、知ってるかお前ら。チキンはこうやって食うんだぞ｣


そんな中、ふと銀子ちゃんの声が聞こえたから顔を上げると、何と彼はチキンの上にチーズタルトを乗せ、それをドヤ顔で口の中に放り込んでいた。


(え"！？)


｢ぎょえっ！｣


そのおぞましい光景を見た紫苑ちゃんが踏まれた蛙のような声を出してむせ返り、


｢おまっ、こっち見んな！口開けんな汚ぇ死ねカス！｣


そんな彼の隣に座っていた可哀想な琥珀は、目を見開いて彼を押し退けていた。






ああ、何て楽しいんだろう。



銀子ちゃんと琥珀のコントのようなやり取りを見て声を上げて笑いながら、俺はそんなことを考えていた。
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