ママの手料理 Ⅱ
笑美は一足先にお風呂に入っているから、実質リビングで起きているのは俺と禁酒中の琥珀しか居ない。
「まあ良いじゃん?そうだ、今日撮った写真、明後日仁が現像してくるって」
動く気力がない俺は、目線だけを動かして彼にそう伝える。
「んなもん要らねぇよ」
彼が積み上がった皿をシンクに置いた瞬間、ガシャンと大きな音がした。
「そんな事言わないでさ。…割れた?」
「割れてねぇ」
「ナイス」
「お前も手伝え」
「んー、ちょっと休憩」
彼と弾ませるテンポの良い会話が心地良い。
ふふっ、と口角を上げた俺は、そのままの流れで大きく欠伸をした。
「ふわぁ……何か眠い、俺ちょっと寝るわ。何かあったら起こして」
「は?お前一旦寝たらテコでも起きねーだろうが」
途端に、琥珀から鬼のような形相で睨まれる。
「…良く知ってんじゃん、俺の事」
もちろん起きる気なんてさらさらない俺は、ゆっくりとソファーに歩み寄って深く身体を沈めた。
「とにかく寝る!…おやすみ、琥珀」
遠くの方で、大好きな彼のため息が聞こえた気がした。
今日のパーティーでよっぽど疲れていたのか、すぐに浮遊している感覚に陥って。
(…なんか良く寝れそう、……)
そんな事を考えつつ、いよいよ意識が飛びかけた最中。
「………やっぱりお前は凄い奴だよ、大也」
ソファーからずり落ちた左手が包まれ、あの人の声が耳元で聞こえた。
その響きは今まで聞いた事がないくらい優しくて、麗しくて。
たちまち、胸の高鳴りが眠気にも負けない程大きくなる。
(びっくりした……俺からしたら、琥珀の方が凄いよ)
俺の言葉は、彼に届いただろうか。
次に何かを考える余裕もなく、俺は眠りの世界へと誘われていった。
「まあ良いじゃん?そうだ、今日撮った写真、明後日仁が現像してくるって」
動く気力がない俺は、目線だけを動かして彼にそう伝える。
「んなもん要らねぇよ」
彼が積み上がった皿をシンクに置いた瞬間、ガシャンと大きな音がした。
「そんな事言わないでさ。…割れた?」
「割れてねぇ」
「ナイス」
「お前も手伝え」
「んー、ちょっと休憩」
彼と弾ませるテンポの良い会話が心地良い。
ふふっ、と口角を上げた俺は、そのままの流れで大きく欠伸をした。
「ふわぁ……何か眠い、俺ちょっと寝るわ。何かあったら起こして」
「は?お前一旦寝たらテコでも起きねーだろうが」
途端に、琥珀から鬼のような形相で睨まれる。
「…良く知ってんじゃん、俺の事」
もちろん起きる気なんてさらさらない俺は、ゆっくりとソファーに歩み寄って深く身体を沈めた。
「とにかく寝る!…おやすみ、琥珀」
遠くの方で、大好きな彼のため息が聞こえた気がした。
今日のパーティーでよっぽど疲れていたのか、すぐに浮遊している感覚に陥って。
(…なんか良く寝れそう、……)
そんな事を考えつつ、いよいよ意識が飛びかけた最中。
「………やっぱりお前は凄い奴だよ、大也」
ソファーからずり落ちた左手が包まれ、あの人の声が耳元で聞こえた。
その響きは今まで聞いた事がないくらい優しくて、麗しくて。
たちまち、胸の高鳴りが眠気にも負けない程大きくなる。
(びっくりした……俺からしたら、琥珀の方が凄いよ)
俺の言葉は、彼に届いただろうか。
次に何かを考える余裕もなく、俺は眠りの世界へと誘われていった。