ママの手料理 Ⅱ
エピローグ
「やばっ、このガレットまじで美味しい!お店開けるよ絶対」


「痛み入ります、大也様」



時は流れ、今はクリスマス。


辛すぎて泣き喚いた魔のリハビリが終わり、元気に帰ってきた俺ー伊藤 大也ーは、家族と共にクリスマス&退院祝いパーティーを開いていた。


夢の中と同様、俺の右手は重いものはまだ持てないけれど日常生活が問題なく送れるくらいには回復して。


あ、因みに琥珀に「俺ら右腕動かない同士、ニコイチだね!」と笑顔で言ったら「お前今すぐ土に埋まれ」と返された、怖い怖い。



「さあ、今日は沢山飲んで食べるよ!…じゃあ大也の退院を祝って、せーの、」


一足先にガレットをつまんでいた俺は、湊の掛け声を聞いて慌ててグラスを手に取った。


「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」


mirage全員の大声が、ママの手料理の裏側で響き渡った。




「ねえねえ、俺の所に毎日お見舞いに来てくれてたんだって?紫苑ちゃんから聞いちゃったよ俺」


パーティーが始まって少し経ち、もう何個目か分からないみかんの皮を剥いていた俺は、カウンターに置いたコップにコーヒーを入れていた琥珀に近寄って声を掛けた。


「はぁ?誰がお前ん所に行くかよ」


その回答は、予想していた通り冷たいものだった。
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