ママの手料理 Ⅱ
次に目が覚めた時は、決行日から3週間も経っていて。


俺は警察病院のベッドの上に居て、あの日誘拐されて人質に取られていた紫苑ちゃんも他のmirageのメンバーも、皆が泣いて俺の生還を喜んでくれた。


意識を取り戻した俺は集中治療室から一般病棟に移り、早速リハビリを始めた。


最初こそ俺の身体は怪我と毒で思うように動かなくて、悲しい事に右腕の注射された場所はピンポイントで青紫色に色変わりし、しかも右腕には麻痺まで残ってしまって。


それでも、


「俺は開始早々諦めたが、お前なら出来るぞ」


という琥珀の激励を受けた俺は、必死にリハビリに取り組み。


前のように軽やかに右腕を動かす事は出来ないし、未だに筋力がなくて重いものを持てないけれど、元気よく歌を歌いながら退院出来るほどには回復した。



そもそも俺がこうなってしまったのは琥珀が幹部の存在に気づかなかったのが原因だとして、琥珀には沢山謝られたし感謝の言葉も貰った。


しかし、俺は、


「謝らないで!?これで俺は琥珀がいつも右腕について何考えてるか分かったし、俺の右腕も琥珀のと同じようなもんなんだから全然大丈夫!これで俺らニコイチ!愛してるよ!」


と、超絶ポジティブな言葉で彼との仲を一層深めたのであった。
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