ママの手料理 Ⅱ
何かの事件に巻き込まれてもう死んでいる可能性もなくはないけれど、その可能性を真っ向から否定したのは湊だった。
『紫苑が死んだなんて人聞きの悪いこと言わないでくれる?次言ったらmirageから追い出すよ、この家からも出て行ってもらうからね』
いつもの笑顔でそう言い切った我らがリーダーの目にはクマが出来、涙が溜まっていた。
紫苑の帰りを待っている彼は毎日リビングで夜を明かしており、そのせいでずっと疲れが取れていないはずだ。
そんな彼の言葉の力は、弱気になりかけていた俺の背中を蹴飛ばすには十分で。
“家出”から“誘拐”の方面に捜索方向を変更した俺達は、取り敢えずもう一度今ある情報を洗い直す事にした。
そうして、俺とペアである中森は、今紫苑の叔母を名乗る人の家に訪れている。
「お久しぶりです中森さん、…と、高杉さん」
玄関の扉が開いてエプロン姿の女性が姿を現し、中森には笑顔を見せたのに俺を見た瞬間にその顔が強ばった。
「ついでみたいに呼びやがって、」
思わず語尾に“殺すぞクソ野郎”とつけかけた俺の足を中森が思いっ切り踏みつけ、
「何度もすみません。丸谷紫苑さんの事で幾つか聞きたい事があるので、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
悔しくなる程完璧な敬語と礼儀をわきまえ、女性に向かってにっこりと笑顔を作った。
『紫苑が死んだなんて人聞きの悪いこと言わないでくれる?次言ったらmirageから追い出すよ、この家からも出て行ってもらうからね』
いつもの笑顔でそう言い切った我らがリーダーの目にはクマが出来、涙が溜まっていた。
紫苑の帰りを待っている彼は毎日リビングで夜を明かしており、そのせいでずっと疲れが取れていないはずだ。
そんな彼の言葉の力は、弱気になりかけていた俺の背中を蹴飛ばすには十分で。
“家出”から“誘拐”の方面に捜索方向を変更した俺達は、取り敢えずもう一度今ある情報を洗い直す事にした。
そうして、俺とペアである中森は、今紫苑の叔母を名乗る人の家に訪れている。
「お久しぶりです中森さん、…と、高杉さん」
玄関の扉が開いてエプロン姿の女性が姿を現し、中森には笑顔を見せたのに俺を見た瞬間にその顔が強ばった。
「ついでみたいに呼びやがって、」
思わず語尾に“殺すぞクソ野郎”とつけかけた俺の足を中森が思いっ切り踏みつけ、
「何度もすみません。丸谷紫苑さんの事で幾つか聞きたい事があるので、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
悔しくなる程完璧な敬語と礼儀をわきまえ、女性に向かってにっこりと笑顔を作った。