ママの手料理 Ⅱ
「粗茶ですが…」


無事リビングに通された俺達は、テーブルに紫苑の叔母と向かい合わせになる形で座った。


「ああどうも、お構いなく…」


中森がお礼を言い、すぐさま本題に入った。


「3ヶ月前に行方不明になった丸谷紫苑さんの事なんですが…、まだ何処にいるのか検討もつかないんです。3ヶ月前から今まで、本当に彼女から連絡は来ていませんか?」


「何も来てないですね…。そもそも私、あの子の両親が生きている時もあの子に年に1度会うか会わないかって感じだったので。連絡先は知ってますが、今まで1度もメールすらした事がないです」


前回と同じ様な叔母の返答に、俺はふーっと息を吐いた。


そんな俺の様子を見た彼女は、びくりと肩を震わせて縮こまった。


「…なら、あいつが行きそうな場所も知らねぇか?あいつの実家近くは全部回ったんだが、手掛かりがなくてよ」


すかさず隣に座る後輩から、敬語!、と注意を受けた。


「さ、さあ…。でも、あの子確かみらい養護園に居たんですよね?なら、そこに行ってるとか……」


緊張からか消え入りそうな彼女の声に、


「だよな、そうなるよな…」


と、俺はまた大きく息を吐いた。


今頃、そこに通っていた大也と銀河が養護園に行って何か情報がないか聞き出している頃だろう。
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