ママの手料理 Ⅱ
「いや、あと仁もいる」


「仁も?…あらぁ、それは良かった!」


オレンジジュースを一気飲みした銀子ちゃんの答えに、彼女は嬉しそうに目を細めて手を叩いた。


「大也、あなたは園に居た時仁と犬猿の仲みたいだっただけど、仲が良いなら嬉しいわ!」


(…はあ?仲が良い!?)


いつもおおらかで落ち着いている彼女だけれど、不思議な事を言うものだ。


ソファーの上に置かれたクッションを膝の上に置いて弄っていた俺は、勢い良く顔を上げた。


「いや、俺ら全然仲良くないんだけど!?てか、あの人いつまで経っても俺に対する態度変えないから無理!」


ぎゃあぎゃあ喚き散らかしながら、俺はふと考える。


(この話題、俺達がここに来た目的とかけ離れてるよな…)


「うーん、そうかもしれないけど…。壱君とは仲良くしてるの?」


「ああ、壱の方がまだ仲良いかも」


仁が二重人格だと知っている彼女は、また笑顔になった。


「そう、壱君もまだ居るなら良かった。なんせ壱君と銀河と琥珀は、この園で初めて出来た不良トリオだったものね。…あなた達、荒れに荒れてたけどまだお子様感が抜けてなくて可愛かったわよ」


「うるせぇそれ以上なんか言ったら首絞めんぞ」
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