ママの手料理 Ⅱ
ナミちゃんの所にはもう戻れないから、後日彼女とカズヤにしっかり謝っておこう。
怒涛の速さで着替えを済ませ、黒のウイッグの中に白い髪を隠した俺は、
「ごめんなさい先に帰ります!すみません!」
と、近くに居たホストに声を掛けてドアに向かった。
「ちょ、今日お前に指名入ってるんだけど!」
「全部カズヤに回して!ごめん!」
後ろから聞こえてくる困惑の声に叫び返し、俺は店を飛び出した。
客の相手や金云々より、あの電話の内容の方が何百倍も大事に決まっている。
俺はいつかと同じようにネオン街を走りながら、湊に電話をかけた。
『もしもし?大也、バイトじゃないの?』
「っ、バイト、抜けてきた…!…紫苑ちゃんから、電話があって……!」
息を切らしながらそれだけ伝えると、
『…へ?紫苑!?』
湊がスピーカーにしたのか、彼の大声と、
『何!?今何て言った大也!』
『早く説明しろ!紫苑が何だって!?』
仁と銀子ちゃんの大声が鼓膜を貫いた。
「ちょっ、うるさい!紫苑ちゃんから電話がきたの!紫苑ちゃんは生きてる!家帰ったら説明するから、じゃあね!皆下に集めといて!」
信号で一旦走りを止めた俺は、それだけ伝えて一方的に電話を切った。
紫苑ちゃんの声が、まだ脳裏で再生され続けている。
怒涛の速さで着替えを済ませ、黒のウイッグの中に白い髪を隠した俺は、
「ごめんなさい先に帰ります!すみません!」
と、近くに居たホストに声を掛けてドアに向かった。
「ちょ、今日お前に指名入ってるんだけど!」
「全部カズヤに回して!ごめん!」
後ろから聞こえてくる困惑の声に叫び返し、俺は店を飛び出した。
客の相手や金云々より、あの電話の内容の方が何百倍も大事に決まっている。
俺はいつかと同じようにネオン街を走りながら、湊に電話をかけた。
『もしもし?大也、バイトじゃないの?』
「っ、バイト、抜けてきた…!…紫苑ちゃんから、電話があって……!」
息を切らしながらそれだけ伝えると、
『…へ?紫苑!?』
湊がスピーカーにしたのか、彼の大声と、
『何!?今何て言った大也!』
『早く説明しろ!紫苑が何だって!?』
仁と銀子ちゃんの大声が鼓膜を貫いた。
「ちょっ、うるさい!紫苑ちゃんから電話がきたの!紫苑ちゃんは生きてる!家帰ったら説明するから、じゃあね!皆下に集めといて!」
信号で一旦走りを止めた俺は、それだけ伝えて一方的に電話を切った。
紫苑ちゃんの声が、まだ脳裏で再生され続けている。