ママの手料理 Ⅱ
あの感じからして、彼女は何処かに閉じ込められているのだろう。


けれど、俺達は日本を代表する怪盗mirageだ。


「大丈夫、紫苑ちゃんは俺達が……」





盗みに行くから。





心の中で呟いた俺は、


「ああウイッグずれる!無理!」


と、頭を押さえて悪態をつきながらもまた走り始めた。


周りの景色は、まるで風のように過ぎ去っていった。




「ただいまー」


あれから数十分後、息を切らした俺がよろめきながら玄関のドアを開けると。


「紫苑は!?」


ドタドタと足音が聞こえ、玄関口に湊が現れた。


俺が言った通り皆階下に集まっているのか、リビングからはガヤガヤと何人もの声が聞こえてくる。


目の前に立つリーダーは、早く俺の口から紫苑ちゃんの事を聞きたくてうずうずしているようで。


こんなに感情を顕にした湊を見るのは、彼女が居なくなってから初めてだった。


「全部話すから、ちょっとリビング行かせて…」


そう言って2人でリビングに戻ると、案の定そこにはメンバー全員が集合していた。


「おかえりなさい、大也さん。早くここに座って下さい」


「こちら、お水になります」


「ウイッグなんて後でいいから、早くチビの事話せ」
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