LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「あんたなんか、最低のクソ男じゃない!
表ではニコニコして良い人の振りして、裏では最低最悪で!」
「今、気付いた?」
私の嫌味を、そうやって軽く流される。
私は永倉副社長の手から、えんじ色のネクタイを奪い取ると、
それをこの人の首元に当てた。
「…このネクタイをあなたにプレゼントした人は、とってもあなたの事が好きだったんだと思う。
このネクタイ、凄くあなたに似合ってる」
私のその言葉に、永倉副社長は少し目を見張ると、気まずそうに私から視線を外した。
「とりあえずさ、もう帰ってくれない?
会社で見掛けても、もうお前に声も掛ける事もないと思うけど。
お元気で」
その言葉の内容なのか、お前と言われたからなのか分からないけど、
それに、怒りのメーターが振切れてしまった。
思いっきり、永倉副社長を殴ってしまった。
ネクタイを握っていたため、それは握りこぶしで。
「…いったぁ」
永倉副社長は倒れる事はなかったけど、少し体勢を崩して、私を睨んでいる。
「あんたなんか大嫌い」
私はそう言うと、リビングへと行き、ソファーに置きっぱなしの鞄を手に取り、
このマンションの部屋から出た。