LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~




「岡崎社長、何故、私なのでしょうか?」


昼休み前、社長室へと呼ばれた私は、
執務机の前に立ち、目の前の岡崎社長にそう問う。



「あ、べつに西村さんの仕事振りを期待しての指名じゃないから。
香苗女史の他にも、俺の秘書には高田が付いてくれていて、
ちょっと大変だけど、大概の事は高田一人でなんとかなると思う。
そりゃあ、残業も増えるし、大変だし、ちょっとブラックなんだけどね」


「はぁ…」


なら、何故私を?


聞いてる感じ、高田さん一人でなんとかなるみたいだし。


ブラックらしいけど。


「ほら、外出の際やはり連れて歩くのは女性秘書の方がいいからさぁ。
西村さん、わが社の女性社員で三番目くらいにイケてるから」


なに?その理由?


確かに、高田さんは男性だけど。


「ちなみに、1位はもちろん香苗女史で、2位は営業の夏村さん。
西村さんは、俺的に3位かな」


「なら、2位の夏村さんに頼まれないのですか?」


3位の私ではなく。


「夏村さんは、営業に欠かせない人物だから。
俺も泣く泣く諦めて」


なるほど。


私はそれほど広報で主力の人材ではない。



「面倒な事は全部高田にさせるから、
西村さん、俺の秘書引き受けてくれない?」


そうお願いして来る顔は、あの忌まわしき永倉副社長にソックリで。


そもそも、兄弟だから、この二人とても顔が似ている。


小柄な永倉副社長とは違い、岡崎社長はとても背が高いけど。



「私には、社長の秘書なんて務まりませんよ。
他をあたって頂けませんか?」


そう、丁重に断ろうと思う。



「仕方ないな。
なら、みー君の秘書の湯沢さんを俺の秘書にして、
西村さんを、みー君の秘書にしよう!」


ポン、と手を叩くけど。


この人の言う、みー君って…。


もしかして、永倉三咲副社長…。


三咲で、みー君?!



「それはダメです!
ぜひ、私に岡崎社長の秘書を務めさせて下さい!」


そう懇願してしまう。


だって、あの忌まわしき永倉副社長の秘書なんて、絶対にあり得ない。


「じゃあ、決まり!
明日からよろしく」


そうして、私は岡崎社長付きの秘書の一人になった。

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