LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「文乃ちゃんの言ってる事も分かるけど。
みー君、凄い鈍くて不器用なんだよ。
一見、鋭く器用に見えるし、実際そうなんだけど。
ただ、人間関係に関しては、本当に不器用な所があるから」
「…それは、ちょっと分かります」
あの日、話の流れで、永倉副社長の父親がヤクザだって話から、
何故か、私が今まであの人を見ていたのは、悪口を言っててそれでチラチラ見てた事になって…。
そうやって、変に深読みされて。
「うちの家庭複雑だから。
そのせいで、みー君はいまいち人間不信な所有って。
子供の頃から、ヤクザの子だからって理由で友達を失くしたり。
逆に、少ないけどそれで寄って来る人も居て。
みー君と仲良くしてたら、バックにヤクザが付いてるから、的な感じで」
そう聞いていて、なんだか少し永倉副社長に同情してしまった。
「みー君、いつの頃かああやって普段はニコニコして人当たり良くなって。
だから、友達は沢山居るんだけど、本当に友達なのは一人だけだし。
昔から彼女もコロコロ変わるんだけど、今まで本気で好きだった事なんてないのかも」
彼女もコロコロ変わる…か。
やはり、永倉副社長は遊んでる人なんだな。
「だから、文乃ちゃん、みー君の事好きなら、ハッキリと言わないと分からないし、
ちゃんと態度で示さないと」
「あ、あの。
私、もう永倉副社長の事は好きじゃないんです。
確かにずっと好きでしたけど。
今はべつに。
だって、私はタイプじゃないとか言われたんですよ?
する事したくせに、もっと美人がタイプだとか、出る所出てる方がいいとか」
そう口にすると、やはり凄くムカついて来る。
「まあ、文乃ちゃんみー君のタイプじゃないね。
みー君、お色気たっぷりの人妻とかけっこう好きだから」
「人妻…」
不倫かぁ…。
「あ、そうそう。
とりあえず、文乃ちゃんLINE教えてよ」
「お断りします。
後で高田さんから、岡崎社長の携帯番号を聞いておきます」
「えー、でも。
プライベートでも仲良くしようよ。
だから、LINE」
「お断りします」