LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
入籍を済ませ、会社へと戻り、
すぐにその報告の為に社長室へと行く。
「無事に入籍しました」
「じゃあこれからは、俺の事はお兄さんって呼んでくれていいよ」
岡崎社長は、相変わらず能天気で。
ちょっと、それが羨ましい。
「一応、会社での結婚の手続きは高田にして貰ったんだけど。
保険証は少し待ってて」
「保険証…」
そうか。
入籍したら、色々と変わるのか。
「今日辺り、病院に行って来たら?」
そう言われ、その事もそうか、と思う。
本当に妊娠しているなら、ちゃんと病院で診てもらわないと。
「文乃ちゃん病院行くの一人で不安ならば、
俺も付いて行くよ?」
「けっこうです」
その日の仕事は、何件かの、取り引きのある会社の人達への御礼状を書いたりと、楽なものだった。
それも、その手紙の内容は事前に高田さんが書いてくれているので、
私はそれを書き写すだけで。
「高田が書いたの送ってもいいんだけど。
やっぱり、女性からの手紙の方が貰った方も嬉しいだろうから」
みんながみんなこの人のような思考ではないだろうけど。
そんな理由で、こんな楽な仕事でいいのか?と躊躇う。
「今、文乃ちゃんはお腹の子供を第一に考えていたらいいから」
そう言われ、妊娠している私に気遣っての、この仕事内容なのか、と気付いた。
そして、この人は私が思うより、色々な事を誰よりも考えているのかもしれない。