LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「体調、大丈夫?」
そう訊かれ、え、と思う。
「今もこうやって歩いてて疲れてない?
つわりとか」
「うん。ここ数日でかなりつわりは軽くなった。
今日なんか、全然ない」
もしかしたら、また夜になると体調を崩すかもしれないけど。
でも、あのキスをした日以来、精神的に安定してるから、
だから、あまりつわりも感じないのかも、なんて。
「もし、体調悪くなったら言って。
帰りタクシーでもいいから」
「此処からタクシー使ったら凄い金額だよ?
その時は、お母さんにでも車出して貰う」
お父さんはお酒を飲むだろうけど、
お母さんはお酒は飲めないし、免許も持っているから。
今日、私の実家で、私の両親と私と三咲で昼食を食べる。
その時、アルコールを勧められるかもしれないから、と、今日は電車でやって来た。
私も一応、免許だけはあるけど、ペーパーなので、この人のあの高そうなベンツを運転するのは無理だし。
「でも、結婚の挨拶って、緊張するね。
まあ、もう俺達結婚してるから、事後報告なんだけど。
文乃の両親に、俺気に入ってもらえるかなー」
そう言って、困ったようにため息を付いている。
「三咲はとりあえずニコニコしてたら、凄く良い人に見えるから大丈夫!
まさか、こんな可愛い顔して、中身が最低最悪のクソ男なんて誰も思わないから!」
「何?そのフォロー?
カチン、って来るんだけど」
「だって、本当の事じゃない」
そう言うと、ちょっと寄せていた眉間を緩めて。
「お前も、そうやってムカつく事言わなかったら、
凄い可愛いのにね」
呆れたようにそう口にするけど。
私はその言葉に、また胸がドキドキとした。