LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
◇
「永倉さん、もっと飲んで下さい」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
私の父親に、三咲は手に持っているグラスにビールを注いで貰っている。
私達が着くと、挨拶もそこそこに、すぐにこの昼食会が始まった。
今日、昼食は出前のお寿司なのだけど、
妊婦に生物はあまりよくないとか母親が言い出して、
私はたまごのお寿司と太巻きしか食べていない。
「けど、このエビとタコは生じゃないんじゃない?
食べていい?」
私は途中にそれに気付いて、目の前のお母さんを見るけど。
「えー、でも、辞めておきなさい」
そう、却下される。
あー、私が生物ダメなの分かっていて、何故お寿司なのか?
そう思うけど、うちの母親の事だから、何も考えていないのだろう。
お客様が来る、よし、寿司でも取ろう、的な流れで、私が妊娠している事なんて考えてなかったのだろう。
「文乃さんのお父さんとお母さんが、
とても優しい方達で良かったです」
三咲は天使のスマイルを浮かべていて、
うちの両親も、コロッと騙されている。
「いえ。永倉さんの方こそ、これ程の器量良しで、とても誠実な方で。
お兄様である、岡崎社長とは、何度か仕事でお会いした事あるのですけど。
お兄さんに、本当にソックリですね?」
父親のその言葉を聞いていて、
三咲と岡崎社長が兄弟なのは、うちの父親も知っているのだと知った。
「じゃあ、お父さんは僕と岡崎社長が兄弟なのは、ご存知なのですね?」
三咲もそれを疑問に思ったのか、そう口にするけど。
嫌な予感がする。
私がこの人と寝た翌日、その辺りの話題になってから、雲行きが怪しくなった。