LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~

「はい。岡崎社長からの電話で、
その辺りの事も聞きました」


父親は、そう普通に答えるけど。


私は、落ち着かない。



「うちが…。
うちの父親が暴力団の組長だという事も、兄から聞かれていますか?」


もう、三咲の顔から笑顔は消えている。


「それは聞いてないですが。
前から、岡崎社長が…、と噂は業界内あったので。
噂程度には知ってました」


そう答えるお父さんの顔も、今まで私が見た事ないくらい神妙で。


ふと、お母さんと目が合うと、大丈夫、だというように笑ってくれた。


「うちの父親は確かにそうなのですが、
僕自身は一切その世界に足を踏み入れた事はないです。
全くその世界の事を知らないのか、というと、嘘になりますけど。
ただ、文乃さんの事は絶対に危険な目に合わせたりしませんし、
もし、それでも西村さんが不安ならば、今後、父親と一切関わりを持たない事も考えています」


「いやいや、そこまでしていだかなくても」


うちの父親は、三咲を制するように笑っていて。


「永倉さん自身が、その職業に就かれているわけでもないですし。
幸い、うちの親戚にも警察関係者はいないので、問題ないですよ」


親戚に警察関係者が居たら、ダメなの?


その辺りの事は、よく分からないけど。


「うちの娘の文乃が結婚したいと選んだ人なので、
私も妻も、間違いないと思っています」


そのお父さんの言葉に、胸が熱くなるのだけど。


ただ、私は三咲を結婚したいと選んだ覚えはなくて…。


岡崎社長は、一体どんな風にうちの父親に今回の事を話したのだろうか?

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