LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~



「お前の親、頭おかしいんじゃない?
普通、父親がヤクザだと聞いたら、そんなヤクザの息子との結婚なんか、反対するでしょ?」


私の実家を出て、駅迄の道中。


本性丸出しの三咲にそう言われるけど。


「うちの両親、昔からあんな感じだから」


そう言えば、姉は10年前に今の私よりも若い年齢で結婚したのだけど。


その結婚相手は、ダンサーをやっているとかいう謎の外国人で。

その人が日本に仕事で来ている時に姉と知り合い、二人は恋に堕ちた。


その人が帰国すると同時に二人は結婚して、姉も一緒にその人の国のブラジルに付いて行ってしまった。


その時も、うちの両親は、姉を笑顔で送り出していたな。


私だけが、お姉ちゃんそんな外国人と結婚して、海外に行かないで!とずっと反対していて…。


けど、今もお姉ちゃんはその外人の旦那さんと幸せで、女の子の子供が二人居る。


お姉ちゃんとは、今もとても仲が良いけど、そうやって海外に住んでいるから、
時差の関係で、時々メールをするくらいで…。


今回の三咲との結婚も、まだ言えていない。


お母さんから聞いてるかな?


とりあえず、近いうちにそれも含めメールしてみよう。


「結婚指輪、どうする?」


そう訊かれ、え、と足が止まる。



「まだ時間も早いから、今日買いに行ってもいいけど」


まだ、15時を過ぎたばかり。


「どうしよう?
これから妊娠の経過で体重が増えたり…浮腫んだりとかもあるかもしれないし…。
子供が生まれてからにしようかな?」


そう言いながら、自分の左手の薬指を見る。


「まあ、出産してから式を挙げる時でいいか」


そうか。


結婚式もいつかするのか。


「だから、急がなくていいよね?」


そう言って、三咲は行きの道と同じように、私の手を握ってくれる。

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