LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
◇
「お前の親、頭おかしいんじゃない?
普通、父親がヤクザだと聞いたら、そんなヤクザの息子との結婚なんか、反対するでしょ?」
私の実家を出て、駅迄の道中。
本性丸出しの三咲にそう言われるけど。
「うちの両親、昔からあんな感じだから」
そう言えば、姉は10年前に今の私よりも若い年齢で結婚したのだけど。
その結婚相手は、ダンサーをやっているとかいう謎の外国人で。
その人が日本に仕事で来ている時に姉と知り合い、二人は恋に堕ちた。
その人が帰国すると同時に二人は結婚して、姉も一緒にその人の国のブラジルに付いて行ってしまった。
その時も、うちの両親は、姉を笑顔で送り出していたな。
私だけが、お姉ちゃんそんな外国人と結婚して、海外に行かないで!とずっと反対していて…。
けど、今もお姉ちゃんはその外人の旦那さんと幸せで、女の子の子供が二人居る。
お姉ちゃんとは、今もとても仲が良いけど、そうやって海外に住んでいるから、
時差の関係で、時々メールをするくらいで…。
今回の三咲との結婚も、まだ言えていない。
お母さんから聞いてるかな?
とりあえず、近いうちにそれも含めメールしてみよう。
「結婚指輪、どうする?」
そう訊かれ、え、と足が止まる。
「まだ時間も早いから、今日買いに行ってもいいけど」
まだ、15時を過ぎたばかり。
「どうしよう?
これから妊娠の経過で体重が増えたり…浮腫んだりとかもあるかもしれないし…。
子供が生まれてからにしようかな?」
そう言いながら、自分の左手の薬指を見る。
「まあ、出産してから式を挙げる時でいいか」
そうか。
結婚式もいつかするのか。
「だから、急がなくていいよね?」
そう言って、三咲は行きの道と同じように、私の手を握ってくれる。