LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
居なくならないで

前回から約二週間後の今日、
レディースクリニックにまた訪れた。


前回と同じように内診のエコーからなのだけど、
モニターを見るその男性医師の表情が暗くて。


「…えっと、あの…」


不安になり、そう訊いてしまう。


「流産の兆候があるので。
2日後、もう一度こちらに来て頂けませんか?」


そう言われ、その後は、診察台を降りて、説明を受けた。


前回と比べて、あまり赤ちゃんが大きくなっていない事もそうだけど。


前回動いていたはずの心臓の、心拍が確認出来ないと。



なんだか、頭の中が真っ白になって。


家に帰ってからも、何もする気も起きない。


帰宅後はさっさとシャワーを浴びて自分の部屋に籠った。


ベッドの中でうずくまっていると、
帰宅した三咲が、私の部屋の扉をノックし、開いた。



「文乃、体調悪いの?」


またつわりで寝込んでいると思われているのだろう。


つわり…。


もしかしたら、急につわりが楽になったのは、もうお腹の中で子供の成長が止まったから?


もう、生きていないの?


確かめるようにお腹を触るけど、それは分からない。


あの男性の医師は、まだ今日の段階では、ハッキリと断定して言わなかったけど。

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