LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「最終面接の時、俺も居たの覚えている?」


「え、はい…。
岡崎社長、長机の一番端に座ってました…」


突然、何故、その時の話題なのだろうか?



「あ、覚えてくれてたんだ?」


この会社に入る前から、この人の顔はネットで見たりして知っていた。


だから、最終面接の時に岡崎社長が座っていて、とても驚いた。


ただ、この人は発言とかはせず、
本当に座って、面接に来た私達を見ていただけだけど。



「あの時、文乃ちゃん来る途中に転けた、とか言って、膝にネクタイ巻いてて」


「あ、はい」


正直、この人の方が面接のその私を覚えている方が驚きだけど。


そうやって、膝にネクタイを巻いたりしていたから、印象に残ったのだろうか?


あの時、面接の途中に面接官の一人の人事部の部長から、膝に巻いたそれに言及されたっけ。


それは一体どうしたの?と。



「あの時文乃ちゃん、転んだ所に現れたうちの社員が、そのネクタイを膝に巻いてくれたって言ってて」


「そうですね」


「そんな素敵な人が働いているうちの会社で、益々働きたくなったって言ってたの、覚えている」


そう言えば、言ったな。


「あのネクタイ巻いたの、みー君でしょ?」


「え…」


なんで分かったのだろう?

その辺りも香苗さんから聞いたのかな?


「あのネクタイに見覚えあったから。
あのネクタイ。
昔、みー君が就職した時に、ふうちゃんがあげたものなんだ」


「二葉さんが?」


「うん。
元々、みー君大学卒業してから、わりと大きな文房具の会社で働いてたんだけど。
その就職祝い」


そういえば、元々三咲が違う会社で働いていた事も、誰かから聞いた事がある。


今から三年程前に、この会社に来たのだと。

< 56 / 76 >

この作品をシェア

pagetop