LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
定時になり、私は退社すると、
そのままレディースクリニックへと行く。


今日も一時間程待たされて呼ばれ、内診を受けるけど。


「…稽留流産です」


すぐに、そう告げられた。


なんだか、本当に全てを失ったような気持ちで。


その後は、呆然と、医師の話を聞いていた。


今日は金曜日なので、明日の朝一に病院に来て、前処置をし、午後から、お腹の亡くなった胎児を取り出す手術をするらしい。



「明日、急に都合が付かないのならば、
週明けでも」


「いえ…。明日で大丈夫です」



「では、こちらの手術の同意書を、明日一緒にお持ち下さい」


そう言って渡されたその同意書には、
配偶者の名前を書く欄もある。


三咲にサインして貰わないといけないの?


そう思うけど、この流産の事を三咲には、話さないわけにはいかない。


この同意書のサインを頼むのと一緒に、それを話そう。


その後は、手術の為に採血をして欲しいと言われて、違う部屋へと通され、その処置を受ける。



「あなたが、悪いわけじゃないから」


年配の、その女性の看護師さんは、
採血の前に、スツールに座り俯いている私にそう声を掛けてくれた。


その言葉に、涙が溢れ出して、止まらなくなった。


本当に、私が悪いわけじゃないのだろうか?


今回、妊娠を知ってすぐは、どうしようかと、私はこの妊娠を困っていた。


そして、最近、三咲と上手く行き出したら、
妊娠して良かった、そのおかげで三咲と結婚出来たから、なんて思って。


お腹の中の子供の事を、そうやって利用したみたいになって。


そんな私だから、今回、流産したんじゃないだろうか…。


< 58 / 76 >

この作品をシェア

pagetop