LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
◇
「あれ…そうじゃないか?」
「聞いていた特徴に似てる」
男の人達が話す声が聞こえ、そちらに目を向けると、数人の男性が私を見ている。
その人達は、見た瞬間にちょっとヤバい人達なのだと分かった。
そのヤバいは、いわゆる、ヤクザ。
"ーーみー君は堅気だから、その辺りは心配しないで!
文乃ちゃんがそういった危険に巻き込まれる事はないと思う。
多分ーー"
以前、岡崎社長はそう言っていたけど。
もしかして、私は、このまま危険な目に合うのだろうか?
「三咲さん!こっちです!!」
その中の一人が、そう大きな声で叫んでいる。
え、三咲?
暫くして、息を切らした三咲がこちらへと来た。
「入水自殺…にしては、浅いね?」
三咲は上から、ドブの真ん中に立っている私を見ていて。
「家帰ったら、文乃居ないから。
テーブルにあんな紙広げて…」
「そう…。見たんだ…」
なら、三咲は私が流産した事を、もう知っている。
「荷物もそのまま置いて居なくなって。
文乃、死ぬ気なんじゃないかって、心配した」
街灯に照らされた三咲の顔に汗が滲んでいるのが、この距離でも分かった。
必死に、そうやって私を探してくれたんだ。
「その…怖そうな人達は?」
先程、私を見ていたヤクザみたいな人達は、三咲の知り合いみたいだけど。
「頼りたくないけど、文乃探すの手伝って貰った。
うちの組の人達なんだけど」
三咲の父親の組の構成員なんだ。
もしかしたら、ここに居る人達はほんの一部で、まだ沢山の人達が私の事を探しているのかも。