LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~



「あれ…そうじゃないか?」


「聞いていた特徴に似てる」


男の人達が話す声が聞こえ、そちらに目を向けると、数人の男性が私を見ている。


その人達は、見た瞬間にちょっとヤバい人達なのだと分かった。


そのヤバいは、いわゆる、ヤクザ。


"ーーみー君は堅気だから、その辺りは心配しないで!
文乃ちゃんがそういった危険に巻き込まれる事はないと思う。
多分ーー"


以前、岡崎社長はそう言っていたけど。


もしかして、私は、このまま危険な目に合うのだろうか?



「三咲さん!こっちです!!」


その中の一人が、そう大きな声で叫んでいる。


え、三咲?


暫くして、息を切らした三咲がこちらへと来た。


「入水自殺…にしては、浅いね?」


三咲は上から、ドブの真ん中に立っている私を見ていて。


「家帰ったら、文乃居ないから。
テーブルにあんな紙広げて…」


「そう…。見たんだ…」


なら、三咲は私が流産した事を、もう知っている。


「荷物もそのまま置いて居なくなって。
文乃、死ぬ気なんじゃないかって、心配した」


街灯に照らされた三咲の顔に汗が滲んでいるのが、この距離でも分かった。


必死に、そうやって私を探してくれたんだ。


「その…怖そうな人達は?」


先程、私を見ていたヤクザみたいな人達は、三咲の知り合いみたいだけど。


「頼りたくないけど、文乃探すの手伝って貰った。
うちの組の人達なんだけど」


三咲の父親の組の構成員なんだ。


もしかしたら、ここに居る人達はほんの一部で、まだ沢山の人達が私の事を探しているのかも。

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