LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
1ヶ月後。


私はあれから少しして、また元の広報課に戻った。


結局、岡崎社長の秘書は、高田さん一人になり、
もう少ししたら、香苗さんも仕事に復帰出来るらしい。


「永倉、この前のお前のキャッチコピー、プレゼン通ったから」


神沢課長にそう言われ、ヤッターと私は自分のデスクで喜んだ。


結婚して西村から永倉に姓が変わったけど、
最近はその名字に、私も周りも馴染んで来ている。



「恋も仕事も順調でいいな?」


「そうですね」


神沢課長の言葉に、そう頷くけど。


全てが順調では無くて、失ったものもある。


今もまだ、流産した心の傷は完全に癒えてないけど。


「私、本当に幸せなんです」


辛い時に、私にはいつも三咲が側に居てくれるから。



「文乃、お昼食べに行こう?」


うちの課に、三咲がそう言ってやって来た。


あれから、三咲が会社に居る時は、
そうやって、お昼ご飯を一緒に食べている。


今日の昼休みも、そうやって二人でランチをする為に、
会社のビルを出て歩く。


うちの会社は、飲食系だけど、食堂的なものはなくて、
ビルに入っている、うちが経営する飲食店で食べるか、外に出て食べるか。


お弁当を持って来るか。


「明日から、私お弁当作ろうか?
お昼だけとはいえ、毎日のように外食なのもよくないよね?」


結婚前の私は、たまにだけど、お弁当を作っていた。


「じゃあ、お弁当は俺が作る。
朝も夜も、文乃が用意してくれているから」


「えー、じゃあ、お弁当辞めよう」


三咲の方が仕事が忙しいから、負担をかけるのも悪いし。


「なにそれ?
俺が作るの気に入らない?
ハッキリ言って、文乃より俺の方が料理上手なのに?
夕べの文乃が作ったオムライスの卵だって、すごい焦げてたくせに」


また、この人は誤解して違う風に思っているのだと思うけど。


後半の発言にムカついて、その誤解を解く気にもなれない。


「は?何それ?
途中で三咲が私に抱き着いて来たり、キスして来たりするから、焦げてしまったんでしょ?」


「だったら、火止めたらいいじゃん」


「そんな余裕なんて、あるわけないでしょ?!」



私と三咲は、喧嘩ばかりなのだけど。


この先も、ずっと一緒に居る。




(終わり)
< 66 / 76 >

この作品をシェア

pagetop