LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
二葉さん


「ねぇ、二葉さんってどんな人?
写真とかないの?」


日曜日の午後。


今日は朝から、三咲と家でゆっくりとしていて、
リビングのソファーで二人並んで座っている。


「二葉君の写真?」


そう言って私を見る三咲の目は、亡くなった二葉さんを思い出し、悲しんでいるわけではなく。


なんで、そんな事を訊くの?って、
ちょっと、めんどくさそう。


「やっぱり、興味あるじゃない。
三咲のお兄さんなのもそうだし、
三咲と私をあのネクタイで、二葉さんが引き合わせてくれたわけだから」


二葉さんが三咲にプレゼントしたあのネクタイがあったから、
今の私達があると言っても過言ではない。


本当に、あのえんじ色のネクタイが、
私と三咲を繋ぐ赤い糸。


どぶの水で汚れたあのネクタイ。


丁寧に手洗いしたら、汚れは取れたけども、
ちょっと、色褪せてしまった。


そして、あのネクタイは、今もまた私の手元にある。


やはりこれは文乃が持ってて、と三咲に言われて。


「二葉君、写真とか嫌いだったからなぁ。
子供の時の写真なら、実家にあるかな」


「じゃあ、写真はいい。
どんな人?
やっぱり、岡崎社長みたいな感じ?」


「いや。あんなのじゃない」


あんなのじゃないのか。


「二葉君、けっこうロリコンだったな」


ロリコン?!


「あ、成瀬君の結婚式の二次会で、
俺と成瀬君と二葉君三人で撮った画像、ある」


そう言って、三咲は自分のスマホを触り出した。


二葉さんもそうだけど、成瀬遥さんもどんな人か気になる。


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