LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「まあ…、俺、虎は好きは好きなんだけど。
けど、べつに俺、虎マニアとかじゃないし。
特にそんなもの身に付けたりもしてないでしょ?」


そう悩ましそうな三咲に、
私も答えを見付けれず悩む。



「仲良かったら、なんで毎年虎なんですか?とか訊けるんだけど。
俺、香苗女史と殆ど話した事ないんだよね。
だから、本当に色々謎で…」


そういえば、香苗さんからも三咲とは殆ど話した事がないと、聞いた事がある。


昔、私が三咲に片思いしている時に、社長秘書の香苗さんなら、
副社長の三咲と接する機会もあるだろう、とその辺りの話から。


でも、三咲と顔を合わせても挨拶程度だと、香苗さんが言っていた。


「ここだけの話、香苗女史と一枝君って、怪しくない?
香苗女史と一枝君って、男と女の関係とか…」


唐突にそう言われ、え、と思う。


いや、だって、香苗さんは神沢課長の奥さんだし。

岡崎社長は独身で、多分彼女も居ないだろうけど。


「いや、それはないよ。
だって、神沢課長の家で何度も鍋パーティーしてるけど、神沢課長と香苗さん本当にラブラブだし!
もしかして、だから岡崎社長の弟の三咲に迄誕生日プレゼントくれるとか、そんな話?」


そもそも、その虎がどうとかの話から何故、香苗さんが岡崎社長と出来てるとかになるの?



「一枝君、昔野球やってて、スッゴいタイガースファンだったんだよ。
今はそれほどではないけど。
その影響なのか、わりと虎のグッズ持ってたり…」


三咲の言いたいのは、仮に香苗さんが岡崎社長と不倫関係で。


その不倫相手の影響で、香苗さんも虎が好きなのだと?


いやいやいや。

ないないない。


「だって、なら、香苗さんだって神沢課長と結婚しないでしょ?
それこそ、岡崎社長と結婚するだろうし」


香苗さんと課長が結婚したのは、
今から二年くらい前で、私が入社したよりも後。


その前から、岡崎社長秘書の香苗さん。


わざわざ、結婚してから、二人がそんな関係になる事はないだろう。


それなら、結婚する前から、付き合ってたりして、そのまま二人が結婚してたりするのでは?


「文乃はまだまだ子供だから、そう単純にしか考えられないかもしれないだろうけど。
大人の男と女には、色々とあるんだよね」


そう、神妙な顔で言われて、ちょっとカチンと来てしまう。


「は?何それ!」



そうして、その日は喧嘩をしてしまい、
出掛けられなかった。


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