裸足のシンデレラは御曹司を待っている
隣に座る直哉の肩に寄りかかり、コテンと頭を乗せた。
すると、私の手の上に直哉の手が重なる。自然とふたりの指を絡ませキュッと握った。

話したい事がたくさんあったはずなのに、胸がいっぱいで言葉が出て来ない。
今は、重なる手のひらから伝わる体温を感じているだけで満たされる。

窓の外、見上げた青い空に浮かぶ雲が徐々に形を変えながら、ゆっくりと流れていく。
穏やかな風が吹いていた。

「後で、シンちゃんと一緒にどこか出かけようか。水族館とかなら喜んでくれるかな?」

「きっと大喜びですよ。早めに保育所に迎えに行きましょうか」

「そうだな。でも、その前に……遥香、キスしていい?」

いきなり、そんな事を言われて、メチャクチャ恥ずかしい。
返事に詰まっていると直哉の切なげな瞳に見つめられる。

「ダメ?」

うわっ、そんな色気ムンムンの低い声で強請られたら余計に恥ずかしさが募る。絶対に私の顔、赤くなっている。

「だ、ダメじゃないですっ」

繋いだ手はそのままで、空いている方の直哉の手が私の顎を持ち上げた。
そして、直哉の顔が近づいてくる。
心臓がドキドキと早く動き出した。

そして、温かく柔らかい感触を唇に感じた。


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