裸足のシンデレラは御曹司を待っている
両親がいない私は城間別邸の管理人を辞めてしまうと沖縄に帰る家が無くなってしまう。
直哉との将来を望んだ瞬間から、生まれ育った故郷である沖縄を離れ、東京で暮らし、たまに沖縄に旅行に来るしか道はない物だと思っていた。

沖縄に家を建てる。
それは、いつでも帰れる故郷があるという事。凄く贅沢で、凄く嬉しい。

「ありがとう……直哉さん」

人通りもあるショッピングモールの通路なのに、涙がこぼれそう。

「ママー、パパ、つまんないよ。はやく、おもちゃやさんにいこうよー」

出入口そばの不動産屋さんの前で立ち止まったままの直哉と私の手を引く真哉の声がした。飽きてしまったのか、唇を尖らせている。
母は感激で胸がいっぱいなのに、息子の情緒のなさったら……。でも、4歳の男の子なんて、こうなのだ。

「シンちゃん、パパがママに新しいお家をプレゼントしてくれるんだってすごいね」

「あたらしいおうちは、すごいの? すごいならミンテンドーのゲームあるの? ヒロくんちにあるのにシンちゃんちにないんだよ」

新しいお家と言われても真哉には、ピンとこないのだろう。家を建てるなんて凄いことなのにテレビゲームの心配だなんて……とほほ。

「なんだ、シンちゃんはゲームが欲しいのか。よし、パパが買ってあげるよ」

「やったぁ。パパだいすき」

はい、甘々のダメなパパが誕生しました!


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