裸足のシンデレラは御曹司を待っている
子供を連れての買い物。
いつもだと、ショーウィンドウに飾られた素敵なコーディネートのディスプレイに惹かれて洋服屋さんに入っても、なぜだか、そのタイミングでトイレに行きたがる息子に阻まれて、ゆっくりと洋服など選ぶことも出来ない。

でも、今日は違う。
なぜなら『パパ』がいるからだ。
雑貨屋に併設されているカフェは、ハンモックやブランコのスペースがある。
そこで、シンちゃんにはパパと休憩してもらって、その隙に洋服屋さんへGO!

洋服の他にも下着も見たい。ゆっくりと選ぶとはいかなくても余計な気を使わずに選べるのは嬉しい。
あんまり待たせては悪いので短時間ならがも両手いっぱいに買い物が出来た。
意気揚々とカフェへ戻ると、笑顔の二人が待っていた。

「ママー、パパがね。おもちゃやさんにつれていってくれるんだって!」

足元に置かれているそのゲーム機は、おもちゃに含まれないんでしょうか?
ゲーム機から視線を上げ直哉の方を見ると、わざと視線を逸らす。口元は今にも笑い出しそうに口角が上がっている。

ああ、もう、ホント、甘々のダメパパなんだから……。

直哉はククッと笑いながら立ち上がり、私の両手から荷物を受け取った。

「荷物増えちゃったね。一旦車に置いて来るから、遥香もジュースでも飲んで一休みしていて」

と言って、ゲーム機と洋服が入ったショッパーを持って店の外へ出て行ってしまった。
あ、逃げたな。

< 142 / 179 >

この作品をシェア

pagetop