裸足のシンデレラは御曹司を待っている
甘々な新米パパさんに好待遇を受けた私と真哉は、ご機嫌でエレベーターを下っている。ショッピングモール内の1階にある、ジェラートアイスクリームのお店に向かっていた。
手作り感のある濃厚な味わいのジェラートは、程よい甘さでショッピングではしゃいで疲れた体に染み渡る。私と直哉がチョイスしたお味はもちろんマンゴーだ。真哉はチョコレート味を選んだ。
「美味しいね」と言いながら食べるジェラートアイスクリームは格別のお味だ。

帰りの車に乗り込むと「ドライブしながら帰ろうか」との直哉の提案にもちろん笑顔で賛成して、西海岸方面に車を走らせる。途中、ゲート通りを横目で眺め58号線にでた。夕方の日差しはこれでもかと言うほど照り付けている。
左手に海を眺めながら58号線を北上していく、恩納村を抜けて沖縄サミットのメイン会場となった万国津梁館のあるブゼナ岬を過ぎると許田にでた。

直哉は車のウインカーを右にたて、そして、橋を渡る。許田の集落内にある
後の御嶽(クシヌウタキ)に到着する。
「ちょっと、寄って行こう」
直哉に促され、車から降り立った。少し傾いた太陽が、まだ強く照り付ける中、緑に囲まれた手水(クシヌカー)と呼ばれる祠の周りは清涼な空気に包まれている。

5年前にココで直哉の口元に水を運んだ事を思い出し、あの頃の気持ちとリンクする。柔らかい笑顔に魅せられたあの日、トクトクと心臓が早く動いていた。
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