裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「別邸の管理人は誰か探して置くから、心配すんな。知り合いに当たればどうにかなる」

「わがまま言ってごめんね。ありがとう陽太」

「ん……」

と言った、陽太の目が赤く充血していて、涙をこらえているのがわかった。
いつも一番の理解者だった陽太は、私の事を送り出そうとしてくれている。

雰囲気を察したおばあが明るい声をだす。

「また、いつでも会えるさ。家族なんだから」

おばあが家族として、私を扱ってくれるが心に刺さった。
嬉しくて、そして、いざ離れると思うと寂しさが胸に押し寄せてくる。

「両親が亡くなっても、城間のおじさんを始め、おばあや陽太が家族として接していてくれたから、寂しくなかった。真哉を育てられたのもみんなのおかげ、本当にありがとう。家族って言ってもらえてどれだけ救われたか……」

そこまで言うと、感極まってこらえていた涙が溢れ出してしまった。

「遥香ちゃん、ここが実家だと思っていつでも帰っておいで」

「そうだ、東京が合わなかったらすぐに帰ってくればいいんだ」

おばあの瞳も陽太の瞳も涙で濡れていた。でも、笑顔だった。

生まれ育った大好きな沖縄を離れても、帰る場所がココにあるとふたりは言ってくれている。
血は繋がっていないけれど、家族の絆を確かに感じた。

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