裸足のシンデレラは御曹司を待っている

なじみの店員さんやマスターがドリンクや料理と次々と運んで来る。
テーブルの上は、この店自慢の炭火焼の焼き鳥やグルクンのから揚げ、車エビの塩焼き、フライドポテト、枝豆、サラダなどにぎやかに並び、他のメンバーはまだ来ていないけれど、先に乾杯でもしようかとビールジョッキを持ち上げた。
「乾杯」と言ってジョッキを合わせたけれど直哉と陽太に挟まれてなんとなく気まずい。
「ようちゃん、みてー、ゲームパパにかってもらったんだ」
真哉が無邪気に二人の間を行き来して潤滑剤になってくれている。

「城間さん、ちゃんとにご挨拶をしていませんでした。今日はこのような機会を設けて頂きありがとうございます」

「いえ、こちらこそ急にお呼びだてして……」

と陽太が話している途中で「遥香！」となつかしい声が飛ぶ。店のドアが開き数人の男女が入ってきた。地元の同級生や後輩などがやってきたのだ。

隣にいる直哉に気付いて、仲間同士で耳打ちしながら、何やらコソコソ話している。それを見ているとなんとなく居心地が悪くて、自分から声を掛けた。

「みんな、久しぶり！　あの、紹介するね。私の婚約者の柏木直哉さんです」

「やーっ！婚約者だって」「どこで捕まえた」「遥香おまえ、何やったんだよ」などと、いろいろな声が飛ぶ、その間にも新たなメンバーがお店に到着し人数が増えてお店の奥にある座敷席が次々に埋まっていく。

私が何をやったのかは不明だが、みんなに会えてうれしい。

すると陽太がビールジョッキを片手に声を上げた。
「今日は、いきなり声を掛けたにも関わらず、みんなが来てくれてありがとう。急遽、遥香が隣に座っているイケメンと東京に行くとか言い出したから、ぜひ、冷やかしてやってくれ。ありカンパイ」