裸足のシンデレラは御曹司を待っている
直哉がグイッとグラスを煽り、泡盛を飲み干した。
パチパチパチと拍手が鳴り「絶対だぞ」「幸せにしろよ」と声が掛かる。

そして、琉球グラスが直哉から私に渡された。その中に陽太が泡盛をナミナミと注ぐ。

大きく息を吸い込んで、今日集まってくれた仲間たちの顔を見回した。
学校の先輩や後輩、青年会のメンバーやママ友まで、急な集まりなのにたくさんの人が駆けつけてくれた。それは、昔から私を支えてくれた人達だ。

「今日は、たくさんの仲間に会えて、とても嬉しいです。子供の頃から素敵な仲間に囲まれて、花火をしたり防波堤から海に飛び込んだり、エイサー踊ったり、毎日が楽しくて幸せでした。大人になってからもドライブしたり、こうしてお酒を飲んで一晩中喋ったり思い出が尽きません。シンがお腹に出来て子育ての先輩たちには色々な子育ての相談に乗ってもらって、無事にここまで大きくなりました。ありがとうございます」

ここまで言うと走馬灯ように脳裏にたくさんの思い出が浮かんでは消えていく。切ない想いを隠して話を続けた。

「シンのパパである直哉と再会を果たし、結婚する事になりました。大好きなみんなと離れるのは寂しいけれど、ちょくちょく遊びに来るのでこれからも仲良くしてください」

ぺこりと頭を下げて、泡盛をクイッと飲み干した。でも、陽太がグラス一杯に泡盛を注いだから、ちょっとキツイ。

「馴れ初めは?」「幸せになれよー」と拍手と共に声が掛かる。
ワイワイと騒ぐ慣れ親しんだ仲間達、子供の頃から見慣れた顔が並ぶ、こうして騒ぐ機会も少なくなるのは、やっぱり寂しかった。


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