裸足のシンデレラは御曹司を待っている
そんな調子でハイテンションのまま、ワイワイ騒いで、だいぶ夜も深い時間になって来た。
真哉は座布団を布団替わりにして、この賑わいの中スヤスヤ眠っている。

店の隅に置かれていた三線(サンシン)を比嘉隆が手に取ると、試すようにつま弾き、それが合図となって、みんなが一斉に立ち上がる。誰かが指笛を吹き演奏に勢いがつく。テンポの速いリズムが鳴り、自然と体が動き出す。
沖縄民謡の豊年音頭を自然と口ずさむ。
両手を頭より高い位置に上げ、脇を開き肘を固定して、手を左右に振り、誰ともなく舞い始める。
喜びも悲しみもかき混ぜて、みんなで分かち合う踊り、かき混ぜるという意味の「かちゃーす」が語源の「かちゃーしー」という踊りだ。

男の人は手を握り、女の人は手を広げるが指先までピタリと合わせる。幸せが逃げないようにするためだと言われている。足の動きは麦踏の要領だ。でも、細かい事を気にしないで楽しく笑顔で踊るのが大事。

私も直哉の手を取り、立ち上がった。
こんな感じだよと、言う風に踊って見せる。
直哉は、足を動かさないで手踊りをした。最初こそ、ぎこちない手の動きだったけれど直ぐに要領を掴んだのか、なかなか上手に踊って見せる。
周りを見渡すと陽太を始め、仲間たちも、ココにいるみんなが、笑顔で踊っていた。

子供の頃からずっと一緒だった仲間たち。
泣いて、笑って、ケンカして、みんなで踊った。
良い事も悪い事した。
全部一緒にかき混ぜて、素敵な思い出になっている。
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