裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「遥香ちゃん、しんちゃん、来てたの。気が付かなくてごめんねー」

おばあが、奥の部屋から顔を見せる。

「おばあ、今までありがとうございました。また、遊びにくるから! 電話もするし、手紙も書くね。陽太も」

「なんだ、オマケみたいに言うなよ」

陽太がおどけて言うとおばあがアハハと笑う。

「陽太には、ラインもするシンの写真も送るね」

「ボクね、ひこうきのるんだよ」

真哉がドヤ顔を見せ、陽太が「良かったな」と言って頭をくしゃりと撫でた。

「じゃ、そろそろ行くね」

「ん、元気でな」

「おばあも陽太も元気でね」

「遥香ちゃん、シンちゃん、遊びにおいで」

「うん、ありがとう」

「ばいばい」
真哉が小さな手を振る。

振り返ると少し離れた所に直哉が待っていてくれて、おばあと陽太に深く頭を下げた。
周りの景色が涙で滲み、胸の奥が熱くなる。


車がゆっくりと走り出す。
おばあと陽太に大きな声で「また来るね」と言って手を振った。
その手には、いつまでも幸せでいる事を誓ったミンサーリングが光っている。

ふたりの姿が遠ざかり、窓の景色が流れて行く。

どこまでも広い空、青い海、白い砂浜で恋をした。
運命が変わる恋をした。

大好きな沖縄を離れてもきっと幸せなる。
そして、きっと沖縄に帰って来る。


【終わり】
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