裸足のシンデレラは御曹司を待っている
はぁー、と大きな息を吐いた遥香がポソリと呟く。
「ただの、つわりだから」
「はっ⁉ 何言ってんの?」
「だから、妊娠したの! 放って置いてよ」
今まで我慢していたのか、堰を切ったように泣き出す遥香。オレは、どうしたらいいのか頭の中が混乱して、掴んでいた腕を離し遥香の肩を抱きしめた。
抱いた肩は、小さく震えている。
遥香の一番側にいたのはオレなのに、こんな事態になるまで何も気付かなかった。胸の奥がモヤモヤとして何処にぶつけていいのか分からない苛立ちが募っていく。
ひとしきり泣いた遥香が、身じろぎ遠のく。
「泣いたりして、ごめん」
「いや……」
何をどこから聞いていいものやら、次の言葉が出てこない。苛立ちを抑えるために目を瞑り、首の後ろに手を当て上を向いた。
普段、気にならない壁掛け時計の音が二人の間の沈黙を刻んでいく。
「私……産もうと思っているの」
「ただの、つわりだから」
「はっ⁉ 何言ってんの?」
「だから、妊娠したの! 放って置いてよ」
今まで我慢していたのか、堰を切ったように泣き出す遥香。オレは、どうしたらいいのか頭の中が混乱して、掴んでいた腕を離し遥香の肩を抱きしめた。
抱いた肩は、小さく震えている。
遥香の一番側にいたのはオレなのに、こんな事態になるまで何も気付かなかった。胸の奥がモヤモヤとして何処にぶつけていいのか分からない苛立ちが募っていく。
ひとしきり泣いた遥香が、身じろぎ遠のく。
「泣いたりして、ごめん」
「いや……」
何をどこから聞いていいものやら、次の言葉が出てこない。苛立ちを抑えるために目を瞑り、首の後ろに手を当て上を向いた。
普段、気にならない壁掛け時計の音が二人の間の沈黙を刻んでいく。
「私……産もうと思っているの」