裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「陽太クン、起きて」
「ん、まだ、眠い。も少し寝かせて、遥香……」
寝ぼけた頭がだんだんと覚醒してくる。目を見開くと泣きそうな顔をした金城沙奈絵がいた。
どれぐらい時間が経ったのだろう。ソファーの上でウトウトしてしまったようだ。
「あ、ごめん……」
女性の声で起こされて、無意識のうちに遥香と口にしてしまった。
心の奥底に燻る思いを隠し切れなかったようでなんだかバツが悪い。
「ううん、陽太クン。遥香先輩と仲が良かったもんね」
「アイツとは姉弟みたいに育ったからな。この前まで、ココで働いていたわけだし」
つい言い訳がましい言葉が口をつく。
別に金城とは昔付き合ったことがあると言っても、ずいぶん昔の話だ。今はただの雇用関係なのだから、言い訳なんて必要ないのに泣きそうな顔をしていたから……。
重くなった空気を換えたくて、ソファーから立ち上がり大きく伸びをした。
「オレも水着に着替えてくるよ」
すると、金城はいつもの笑顔を見せる。
「うん、わたし、服の下に水着きて来たんだ。先にプールサイドにいるね」