裸足のシンデレラは御曹司を待っている
10
村内にある保育所の玄関に足を踏み入れた。
子供たちのはしゃぐ声が聞こえ、壁には折り紙やクレヨンのイラスト、靴箱にしまわれた小さな靴が並んでいる。
「お待たせ、シンちゃん。先生ありがとうございました」
「ママ~」と元気いっぱいに走り込んでくる真哉を抱きしめた。子供ならではの体温、汗の香りにホッと癒される。
保育所のお迎え時間が迫り、直哉の記憶のカギを開ける旅は明日へ持ち越しになった。
もちろん直哉には、息子・真哉の存在は明かしていない。
軽自動車の助手席に取り付けられたチャイルドシートにヨイショッと真哉を座らせ、ハンドルを握った。
「今日保育所楽しかった?」
その問いかけに途端に表情を曇らせ不貞腐れた顔になる。
「たのしくなかった。ヒロくんとケンカした」
「どうしてケンカしたの?」
「だって、ヒロくん……」
そこまで言うと、口を固く結び頬を膨らませ押し黙ってしまった。
子供には子供なりの言い分があるし、意外なほど色々な事を考えている。
「シンちゃん、ママに教えてくれないとシンちゃんが良い子か悪い子がわからないよ」
「だって、ヒロくん、おまえんちパパいないって……」
その言葉に思わず息を呑む。
子供たちのはしゃぐ声が聞こえ、壁には折り紙やクレヨンのイラスト、靴箱にしまわれた小さな靴が並んでいる。
「お待たせ、シンちゃん。先生ありがとうございました」
「ママ~」と元気いっぱいに走り込んでくる真哉を抱きしめた。子供ならではの体温、汗の香りにホッと癒される。
保育所のお迎え時間が迫り、直哉の記憶のカギを開ける旅は明日へ持ち越しになった。
もちろん直哉には、息子・真哉の存在は明かしていない。
軽自動車の助手席に取り付けられたチャイルドシートにヨイショッと真哉を座らせ、ハンドルを握った。
「今日保育所楽しかった?」
その問いかけに途端に表情を曇らせ不貞腐れた顔になる。
「たのしくなかった。ヒロくんとケンカした」
「どうしてケンカしたの?」
「だって、ヒロくん……」
そこまで言うと、口を固く結び頬を膨らませ押し黙ってしまった。
子供には子供なりの言い分があるし、意外なほど色々な事を考えている。
「シンちゃん、ママに教えてくれないとシンちゃんが良い子か悪い子がわからないよ」
「だって、ヒロくん、おまえんちパパいないって……」
その言葉に思わず息を呑む。