裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「でも、今日具合が悪くなったは、私のせいなんだよ。ボール追いかけて車の前に飛び出したからきっと、事故の事を思い出してフラシュバックでも起こしたんだよ」

「車の前に飛び出したとかって、遥香も気をつけろよ。お前になんかあったらシンが可哀想だろ?」

陽太のいう事はもっともだ。片親なんだから私に何かあったらシンが可哀想なのにうっかりしていた。

「そうだね」

と返事をして視線が合うと陽太の大きな手がスッと伸び、くしゃりと頭を撫でられた。
いつもより近い距離に落ち着かない気持ちになる。

「私の方が2つも年上なのに子供扱いして」

いくら幼馴染とはいえ、なんだが気恥ずかしい、それを誤魔化すように頬を膨らませプリプリと怒るふりをした。それを陽太が笑い反論する。

「子供扱いじゃないよ。慰めてんだよ。胸が良ければ貸してやるよ」

そんなことを言って、両手を広げて見せる。

「ん、ありがと、まだ、大丈夫だよ」

「そうか、いつでも言えよ」

ニカッと笑う陽太。その明るさがありがたい。

正直言って、今日、直哉から聞いた記憶喪失の話はすごいショックだった。忘れてしまえるような関係だったの?とか、未だに記憶の手がかりを探している様子を見て、どこかで覚えていてくれて私の事を探してくれている。とか、考えてしまって気持ちの浮き沈みが激しい。
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